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超音波検査を用いた診断・治療

腹部超音波検査とは?

超音波は人間の耳には聞こえない高い周波数の音波で、一定方向に直進する性質があります。これを利用して腹部に超音波を発信し、そこから返ってくるエコー(反射波)を受信し、コンピューター処理で画像化して診断するのが腹部超音波検査(腹部エコー)です。腹部の検査では3.5MHzの超音波とコンベックスタイプのプローブを主に用いています。X線のような放射線被ばくの心配がなく、検査を受ける人の苦痛もないため、繰り返して検査を行うことができ、産婦人科では胎児の診察にも用いられています。

検査にかかる時間や検査前に必要なことは?

検査部位や病変の有無によって異なりますが、通常は10~20分です。腹部内に空気が多く存在すると、画像が良く見えなくなりますので、原則的には検査前の食事を控えていただきます。 午前中の検査であれば朝食、午後の検査であれば昼食を控えてください。超音波検査を始めるときは、腹部の皮膚とプローブの間に空気が入らないように腹部にゼリーを塗り、プローブを腹部に密着させて腹部の臓器の断面像をモニターテレビで観察していきます。検査部位によっては仰向きから横向きや座った姿勢で検査します。

写真1:超音波実施風景
写真2:超音波機器とプローブ

何がわかるのか?

腹部にあるすべてが対象になりますが、特に肝臓・胆のう・膵臓・腎臓、さらには膀胱・前立腺や子宮・卵巣も検査の対象となります。超音波機器の性能が向上し、空気を含んだ消化管でも検査できることが多くなり、腫瘍や炎症性変化などが描出されるようになりました。

どんな症状のときに受けるの?

腹痛などの自覚症状がある時や腹部の診察で腫瘤(しゅりゅう)触知・圧痛がある場合、血液・尿検査で肝障害や腎機能障害がみられた場合は、迅速な検査方法として腹部超音波検査を行います。また、慢性の肝炎や膵炎、胆のう結石、各種のがん治療後の経過観察として、血液検査と同時に定期的に検査を行います。腹部触診より精密な診察が行えます。

どんな病気の発見のきっかけになるの?

腫瘍や炎症、結石などは周囲の正常な組織と組成成分が異なり、正常な組織との間にコントラストが生じるために、正常とは異なる病変部位と判別することができます。慢性肝炎が進行して肝硬変になると、肝表面は凹凸不整、内部エコーは粗造となって、肝臓の萎縮や脾臓腫大がみられ、さらには腹水貯留を認める場合があります。ドップラー効果で血管を赤色や青色で表して胆管との区別が容易に可能となります(図1~3)。胆石などの硬い組成のものは音波を強く反射するため、高輝度エコー(強い白色)として描出され、水成分(胆汁、膵液など)は超音波が反射せずに通り過ぎるため、黒い液体をため込んで拡張した胆管や膵管として描出されます(図4、5)。肝臓や膵臓の腫瘍は、正常の組織よりも少し低エコー(やや黒い)か少し高エコー(やや白い)として、正常組織から判別されます(図6)。

検査対象となる主な疾患

  • 肝疾患:急性・慢性肝炎、肝硬変 脂肪肝、血管腫、肝臓がん(原発性、転移性)
  • 胆道疾患:胆のう・総胆管結石、急性・慢性胆嚢炎 、胆管・胆のう癌
  • 膵疾患:急性・慢性膵炎、膵仮性のう胞、膵石症 膵癌、嚢胞性膵疾患
  • 消化管・腹膜疾患:急性虫垂炎、イレウス、腹水、大腸憩室炎、進行胃癌・大腸癌

腹部超音波検査を用いた治療

対象疾患・病態:肝腫瘍(原発性肝癌など)、肝膿瘍、肝のう胞、腹水、急性胆嚢炎(胆石性、化膿性)、閉塞性黄疸(膵がん、胆管がんなどに伴う)