消化器内視鏡センター

VE検査による嚥下機能評価の実際

嚥下内視鏡検査(VE)について

はじめに

食物を口に入れて、咀嚼(そしゃく)し、飲み込み、食道へ送り込む一連の動作のいずれかに障害がある状態を嚥下(えんげ)障害といいます。嚥下内視鏡検査(VE)は、鼻腔ファイバースコープという内視鏡をのど(咽頭)に挿入し、食物の飲み込み(嚥下の様子)を観察する検査で、唾液や喀痰の貯留の有無、食物を飲み込んだ後の咽頭内への食物の残留の有無や気管への流入(誤嚥:ごえん)などを評価することができます。また、嚥下に影響を与えることのある声帯の動きも評価することができます。この検査の結果をふまえて、今後の食事形態や食事時の姿勢の調節、嚥下訓練を計画し、口から食べる力を回復する方針を決定します。

摂食嚥下機能と摂食嚥下障害について

摂食嚥下機能:食事を摂取して飲み込むには一連の動作があります。

1:先行期 食物を認識し、食べる判断をして口に取り入れる
2:準備期 食物を咀嚼し、飲み込みやすい形状にまとめる
3:口腔期 咀嚼された食物を咽頭へ送る
4:咽頭期 食物を咽頭から食道へ送る
5:食道期 食物を胃へ送る

これら一連の動作が難しくなると摂食嚥下機能低下・障害の要因となります。

図1:加齢による咽頭下垂・筋力低下

摂食嚥下障害を診断する手順

食べることに関する口やのどの動きを診察し、簡便な検査(スクリーニングテスト)を行います。

1:問診

症状や食事の状態を把握し、噛むことの問題か、飲み込みの問題かなどを推定します。

2:反復唾液嚥下テスト

30秒間で何回唾液改訂水飲みテスト:3mlの冷水を飲んでもらうテストです。むせや呼吸・声の変化などを見ます。

4:フードテスト

茶さじ1杯(約4g)のプリン、お粥、液状食品を食べてもらいます。飲み込んだ後に食物が残っていないか、ムセがないか、呼吸の変化はないかを見ます。

5:頸部聴診法

食物を飲み込んだ時の嚥下音、前後での呼吸音の変化を聴診器で聴診します。

6:ガムテスト

咀嚼能力を判定するガムを咬むテストです。

以上の簡易検査で機能低下などが疑われる場合、嚥下内視鏡検査を行います。

嚥下内視鏡検査(VE)

鼻腔ファイバースコープ:

直径3.5mm、長さ35cm、咽頭・喉頭を直接観察します。

図1:嚥下内視鏡機器、ファイバースコープ

検査の実際:

鼻腔から内視鏡を挿入し、のどの状態を観察します。内視鏡で観察しながらトロミ付きの水、ゼリー、実際の食事などを飲み込んでいただきます。食物の摂取状況に応じて姿勢・食物形態・一口量の調整を行います。食物の咀嚼状態・残留の有無、気管への流入の有無などを確認できます。当院では消化器内視鏡センターで行っていますが、ベッドサイドでも検査を行うことができます。
所要時間は15分~30分です。

写真1:嚥下内視鏡検査の様子(体位の変換などを行う)

検査の際の注意:

実際に少量ながら水分や食物を食べますので、それに伴うむせや誤嚥の可能性があります。
欠点:内視鏡の先端は咽頭にあるため、食物を咀嚼する様子や舌の動き、食べ物が食道を通過する様子は観察できません。しかし、咽頭の筋肉がしっかり収縮しているかどうかは評価することができます。

検査後の評価と指導内容:

録画した画像を確認しながら、嚥下機能の問題点の評価を行い、嚥下リハビリテーションの内容を計画し、食事の姿勢、食事形態、摂取方法などを提案し、指導しています。

まとめ:

嚥下機能評価を行うことにより、摂食嚥下機能の低下を防いで、リハビリによる機能向上を図って食べる楽しみを持ち続けることに繋がります。当院では、多職種からなる摂食嚥下チームで対応し、栄養サポートチーム、褥瘡対策チームなどと情報を共有し、連携することで患者さまの入院中から退院後の生活の質を維持・向上する努力を行っています。