消化器内視鏡センター

超音波内視鏡検査(EUS)による診断と治療

超音波内視鏡検査 (EUS)/ 超音波内視鏡下生検(EUS-FNA:EUS-guided fine needle aspiration)

超音波内視鏡検査 (EUS:Endoscopic ultrasound)

超音波内視鏡検査(EUS)とは内視鏡の先に超音波画像装置が装着された内視鏡で、消化管壁の構造や膵臓、胆管、胆嚢、リンパ節などを詳細に観察する検査です。胃や十二指腸から、消化管壁の層構造を詳しく見たり、腹部超音波検査では消化管ガスの影響を受けて詳細な検査が困難であった膵臓や胆道系の十分な観察がかのうとなりなした。また、膵臓疾患や胆道疾患は腹部CT・MRIなどの検査でも観察が不十分なことも多く、病期診断や正確な診断を行う目的で、当院では積極的に超音波内視鏡検査 (EUS)を導入しています。

走査方式の違いと特徴

超音波内視鏡検査(EUS)には走査方式からラジアル走査式とコンベックス走査式があります。
ラジアル走査式は内視鏡スコープを中心に同心円状に超音波信号を送受信するため、360度の観察が可能であるのに対し、コンベックス走査式の描出範囲は内視鏡に直行する一方向への超音波信号の送受信となります。観察したい病変も部位や範囲によって選択しますが、超音波内視鏡下吸引生検(EUS-FNA)はコンベックス走査式の機種を使用します。

超音波内視鏡下生検(EUS-FNA:EUS-guided fine needle aspiration)

また観察のみでなく、超音波内視鏡下のより安全な生検も可能となりました。超音波内視鏡下吸引生検術(EUS-FNA)とよばれる手技です。穿刺に使うEUSシステムはドップラー(血流測定)観察装置を有しており、これにより腹部の微細な血管走行も観察可能となり、生検穿刺ラインの安全なルートがとれるようになりました。この結果、これまでの内視鏡スコープでは病理診断が困難であった消化管粘膜下腫瘍、膵腫瘍、副腎腫瘍等の内視鏡的病理診断が可能となり、また従来試験開腹手術や縦隔鏡等の侵襲的な検査でないと病理診断が困難であった腹部骨盤腔や縦隔の原因不明の腫瘤やリンパ節腫大の非侵襲的な病理診断が可能となっております。

超音波内視鏡(EUS)の治療への応用

胃・十二指腸壁を介して膵臓や胆管・胆のうの病変が詳しく描出できる超音波内視鏡の手技を応用して、膵臓や胆道の病気に治療が可能となってきました。とりわけ、重症の急性膵炎後に形成される膵仮性のう胞や膵周囲膿瘍の内視鏡的ドレナージ術や閉塞性黄疸に対する胆管ドレナージ術が行われるようになりました。

当院で経験した症例を提示します。67才男性、アルコール性急性膵炎後の仮性嚢胞、WONです。大きさ、また感染を伴っていると疑い治療適応と判断しました。方法としてEUS-FNAを用いたドレナージを選択しました。

経胃的な嚢胞穿刺、ドレナージを行いました。まず、EUSガイド下で19G針で穿刺し,茶色の混濁液を吸引し、ガイドワイヤーを嚢胞内に留置しました。その後スネアによる通電で胃壁を貫通後,6Frのダイレーター、8mmの胆道様バルーンにて拡張し、6Fr.の経鼻ドレナージチューブを留置しました。同時に内瘻チューブも留置する予定でしたが、通電時の出血で視野不良となり外瘻のみで終了しました。

外瘻チューブ留置4日後に、内視鏡的ネクロセクトミーを施行しました。まず、ガイドワイヤー留置下で外瘻を抜去し、12-15mmの大口径の胆道バルーンを用いて瘻孔を拡張しました。

治療後のCT検査です。嚢胞はほぼ消失しているのがおわかり頂けると思います。この症例は外科的ドレナージ、壊死物質の除去術を回避することができました。