消化器内視鏡センター

大腸内視鏡検査と内視鏡治療

大腸内視鏡検査/拡大内視鏡検査

近年内視鏡は著しい発展をとげており、血管構造を強調し診断を補助する特殊光NBI(Narrow band imaging)はすべての内視鏡に標準装備され、また拡大機能を搭載した拡大内視鏡を使用することで、対象病変を瞬時に80倍まで拡大し、表面構造の詳細な観察及びNBI併用による表面微細血管構造の観察により、多くの病変では生検(組織をとって顕微鏡で見る検査)を必ずしも必要とせず、高いレベルで病理学的診断を行うことが可能となりました。特に大腸内視鏡検査における拡大内視鏡観察は、ポリープを発見した際、治療が必要なポリープか放置可能なポリープかの判断や、癌が疑われる病変を発見した際、深達度診断まで正確に行うことが可能なため、治療方針の決定(内視鏡治療または手術) に大きく寄与しております。当院では下部内視鏡検査にはほぼ全例拡大内視鏡を用いた検査を行っており、質の高い診断を提供することが出来ます。

内視鏡治療

検査の際に発見されたポリープは拡大観察を施行した後、小さいものであれば外来で治療を行い、多くの場合は治療後、帰宅して頂くことが可能です。しかしながら治療する際、通電して切除するため、大きなポリープやキノコのような太い茎のあるポリープでは出血や穿孔(腸の壁に穴があくこと)が起こってしまう可能性が少なからずあるため、治療の医師の判断により1日から2日程度の入院が必要になることがあります。

Cold polypectomy(コールド ポリペクトミー)

上記の偶発症を減らすために、10mm程度までの良性腫瘍に対しては、通電せずにポリープを切除する方法(CP:cold polypectomy)が欧米を中心に良好な成績が報告されており、近年我が国においても注目されています。当院でも拡大内視鏡を併用し、良性と診断した場合にはcold polypectomyを行うようにしています。

内視鏡的粘膜切除術 (EMR: Endoscopic Mucosal Resection)

従来は2cm程度のワイヤー(スネア)を用いてポリープを挟み込み、電流を流して切除する方法、内視鏡的粘膜切除術(EMR)ですべての大腸腫瘍の治療を行っていましたが、2cmを超えるような大きな腫瘍に対しては一括して切除する割合は低く、分割切除となっていました。分割切除となると、病理学的診断が困難となることや再発(3割程度)が多いことが問題でした。

内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD: Endoscopic Submucosal Dissection)

一方で、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、微小な高周波メスを用いて病変の周囲を切開(粘膜切開)し、少しずつ筋肉の層から病変をはがしていき(粘膜下層剥離)、病変を分割切除することなく一塊で切り取る方法(一括切除)です。このように切除することにより、詳細な病理組織学的診断が可能となり、再発の可能性を極めて低くすることができます。
大腸癌診療ガイドラインでは「腫瘍の大きさが2~5cmまでの一括切除が可能な腺腫または早期癌(深さが粘膜下層1000μmまでに留まるがん)」とされています。内視鏡では表面しか観察できないため、表面構造から深さを推測する必要があります。術前検査では拡大内視鏡下に、特殊光NBI(Narrow band imaging)や色素散布(インジゴカルミン・クリスタルバイオレットなど)を併用することで、より正確な深達度診断を心がけています。
当院では保険適応となった2012年より導入以降、毎年徐々に症例数も増加傾向にあり、良好な成績を得ることが出来ています。

大腸EMRとESDの実際

内視鏡的粘膜切除術(EMR)では病変の下の粘膜下層に生理食塩水を注入し、浮き上がった病変に正常粘膜を少し含めてスネアをかけ、締め上げた後に、高周波電流を通して焼き切ります。
一方、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)では病変の下の粘膜下層にヒアルロン酸(生理食塩水より粘調な液体)を注入し、専用の電気メスを用いて、病変の外側から粘膜を切開し、その後少しずつ、粘膜下層と筋層の間を剥いでいき、最終的に病変を一塊にして切り取ります。