ロボット手術・低侵襲手術支援センター

ロボット手術・低侵襲手術支援センター

当院では以前より身体への負担が少ない低侵襲手術(内視鏡下手術)に力を入れてきましたが、2020年、最先端医療機器である手術支援ロボット『da Vinci Xi(ダヴィンチ)』が当院に導入されました。"安全で質の高い医療"を実現するためには、医師のみでなく、看護師、薬剤師、臨床工学士、事務など関係部署の緊密な連携・調整体制が必要です。そこで診療科や部門の枠組みを越えた組織として2020年4月より『ロボット手術・低侵襲手術支援センター』を設置しました。明石医療センターは、地域医療支援病院としての強みを生かしながら、地域の皆さまが安心して最先端の手術を受けられるようにすることを目指しています。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

ロボット手術・低侵襲手術支援センター長
副院長 外科 豊川 晃弘


外科

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明石医療センターは、2020年より手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入しました。

「ダヴィンチ」は内視鏡を使う「腹腔鏡手術」を支援する、内視鏡下手術支援ロボットで、米軍の医療技術が民間に移転されたのを受け、1999年に誕生しました。術者が3Dモニターを見ながら遠隔操作で装置を動かすと、その手の動きがコンピュータを通してロボットに忠実に伝わり、手術器具が連動して手術を行います。腹腔鏡手術にロボット機能を合わせたことで、今まで不可能とされていた角度からの視野の確保や、拡大した視野の下で操作を行え、さらに人間の手以上の緻密さを持つ手術器具により繊細な動きが可能となります。そのため、従来の手術と比較して、低浸襲性、確実性、機能性が飛躍的に向上すると言われています。2018年に保険診療の対象が大きく拡大され、新たに胃癌や食道癌、肺癌、直腸癌、子宮体がん、心臓病(心臓弁膜症)手術など、12の術式で保険の適用が認められました。外科では、まずは直腸癌からダヴィンチ手術を導入します。ダヴィンチ手術では肛門温存率が高くなる・術後の排尿障害や性機能障害のリスクの軽減が言われています。
現在、米グーグルとジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が共同開発されており、また、日本ではシスメックスと、川崎重工業の共同出資で開発中であり、上市間近と言われています。今後は、「5G」による遠隔手術も可能になると言われています。
当院は、今後も体にやさしい低侵襲手術(内視鏡手術・ロボット手術)を積極的に行なって行きます。


呼吸器外科

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呼吸器外科領域では、腫瘍性疾患および気胸・膿胸などの様々な疾患に対する治療として胸腔鏡手術が普及しております。

当院でも呼吸器外科手術中、完全胸腔鏡手術は80%を超える実施率でした。完全胸腔鏡手術では低侵襲性すなわち傷の小ささ、胸壁・筋肉・肋骨へのダメージの少なさにより速やかな術後回復がもたらされます。しかし、胸腔鏡手術の鉗子は直線的であり、動作制限という欠点があります。胸腔鏡手術の持つ低侵襲性を保った上でその欠点を補完した手術支援ロボット(ダヴィンチ)による内視鏡下手術は1997年より欧米において臨床応用が開始され、本邦においても2012年の泌尿器科領域での保険収載以降、普及しています。呼吸器外科領域における代表的な腫瘍性疾患である、肺癌(原発性・転移性)および縦隔腫瘍(良性・悪性)に対しても2018年より保険適応となりました。当院でも2019年12月にダヴィンチが導入され、呼吸器外科においても順次ロボット支援下での手術を開始して参ります。これからもより低侵襲を目指した手術を心がけていきますので引き続きのご支援の程何卒よろしくお願いいたします。


産婦人科

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兵庫県の産婦人科において腹腔鏡下手術は多くの施設で行われていますが、ロボット手術はあまり導入されていません。当院産婦人科では手術支援用ロボット(ダヴィンチ Xi, da Vinci Xi)による「体に優しい内視鏡手術」を行う準備を開始しました。

世界において「ダヴィンチ」手術全体の症例数に対する婦人科疾患の割合は、 2008年が30%、2009年34%、2010年には45%と年々増加しています。「ダヴィンチ」の特徴として4本のアームの内、1本は高精度3Dカメラを搭載、残り3本のアームで手術を行います。この機能により婦人科領域の子宮筋腫や子宮腺筋症などの良性腫瘍、子宮がんなどの骨盤腔の狭く奥まった場所にある病巣に対して、人の手では取りにくい場所にあるリンパ節を切除したり、癒着した組織を剥離したりする際に、従来の「腹腔鏡手術」よりも低侵襲で安全な手術を行うことができます。
また婦人科疾患では「ダヴィンチ」手術であれば切除した病巣を腟から体外へ取り出せます。他の領域の手術であれば、切除したものを 取り出すための切開創が加わるのですが、それがない分、傷や痛みが少なく、回復が早くなります。開腹手術と比較した場合、手術には時間を要しますが、 出血量は約20分の1、入院日数で約4分の1になるなどといった成果が得られています。
当院ではまず子宮良性疾患に対するロボット支援腹腔鏡下子宮全摘術から導入していく予定です。


心臓血管外科

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ロボット支援下心臓手術が兵庫県で初めて始まります。

明石医療センターでは小切開による内視鏡下心臓手術を積極的に適用し、この手術の全国有数の拠点として、患者さまに優しい低侵襲心臓治療を提供してきました。2020年はこれに加えて手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いた心臓手術を開始します。僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術が対象となります。ロボット支援下心臓手術は最新技術ではありますが、平成30年度診療報酬改定で健康保険の適応となりましたので患者さまの金銭的負担は従来の心臓手術と同等です。ただし、低侵襲心臓手術の実績のある病院かつ高度な技量を備えた外科医にしか施行が認められないため、現時点では、明石医療センターは兵庫県で唯一、関西でも大阪府の4施設に次ぐ5番目の施行施設となる予定です。一般的な胸骨正中切開による心臓手術と異なり、数cmの小さい傷で手術が可能で、術後1週間程度で自宅退院が可能です。仕事への復帰も2~3週間ですので、「まだ現役で仕事が忙しい」「家族の介護で時間が取れない方」には特に手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いた低侵襲手術が有効です。あるいは、逆に、高齢で手術に耐えられる自信がない患者さまにも福音をもたらします。僧帽弁の病気と言われたら、火曜日・金曜日の心臓血管外科・弁膜症外来(担当:岡本一真)を受診し気軽にご相談ください。