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診療部|整形外科:医療記事

変形性膝関節症と人工関節置換術

変形性膝関節症とは膝関節表面の軟骨が長年の負担ですり減った状態になることをいいます。わかりやすく言えば、加齢、肥満、けがなどにより、関節の軟骨がすり減り、さらに骨が変形して痛みを伴うようになった状態で、関節の動きも悪くなります。正座あるいは、いすから立ち上がる時や歩き始めなどの運動開始時に痛みが現れるのが特徴です。なかには関節に水が溜まって腫れてくることもあります。徐々に膝の筋力が低下し、階段の昇降がきつくなってきます。進行して来ると、安静時にも痛みが出てきたり、持続性の痛みになったりして、痛みのレベルも許容範囲を超えるようになり、膝が直すぐに伸びない、正座ができないなどの可動域制限もきたすようになり、日常生活に大きな支障をきたすようになります。

一度すり減ってしまった関節軟骨は、もとの若かりし頃のものに修復されることはありません。変形性膝関節の治療は痛みをとり、膝の機能を回復させてより歩行しやすい状態にする治療を行います。

X線上、軟骨下の骨はストレスによって硬化したり、周囲には骨棘(こっきょく)とよばれる変形が形成され、さらに、骨嚢腫という空洞化した部分が生じてきたりします。内側の関節の隙間は徐々に狭くなり(狭小化)、ついには消失し骨同士が引っ付いてしまったような状態になります。

治療法は関節への負担を軽減させるために、体重の減少や生活様式の改善、温熱療法や大腿四頭筋を中心とする筋力強化などのリハビリテーションが保存的治療の中心となります。関節痛の軽減のための薬物療法や軟骨の保護を目的とする関節内注射(ヒアルロン酸製剤)を行ったり、荷重をより外側に移動させる足底板(外側楔状)を使用して膝の側方へ体重の掛かり方を変えたりといった治療も行います。

以上の保存的治療を6ヵ月間行ってもあまり痛みが改善せず、日常生活の上で大きな支障が改善されないときは以下の手術療法の適応となります。その一番の目的は、関節の痛みの除去です。

変形性膝関節症の手術療法には、高位脛骨骨切り術、関節鏡手術、人工膝関節全置換術などがあります。当院でも、痛みの程度や歩行能力、年齢、レントゲン所見、患者さまの希望などを考慮して手術の適否の決定、手術法の選択をします。

人工膝関節はこの痛みを取り除き、正常に近い膝関節の動きを取り戻すために開発されました。変形した関節の表面を切除し、代わりに人工の関節で置き換える手術です。人工関節手術は、長期成績も良好で、手術後のリハビリも早いので、年々手術件数が増えてきています。痛みのためほとんど歩けなかった方が歩けるようになったり、外出も困難だった方が旅行できるまでになったりと、QOL(Quality of Life :生活の質)の大きな改善が望めることが最大のメリットです。当院でも1年間で約50例の人工関節置換術を施行しています。

術後の合併症の中で感染はもっとも注意しなければならないものの一つで、人工関節周囲は血流が乏しいなどの理由で、いったん感染を起こしてしまうと非常に治りにくい性質があります。そのため、当院でも感染予防策として、手術室はクリーンルームを使用し、器具の滅菌はもちろんのこと、術者も宇宙服のような特別な手術着を着用して術者から細菌が入らないように細心、最新の配慮のもと手術しています。また予防的な抗生物質の全身投与も行っています。

この手術は特に術後に600〜800mlの出血が見られます。手術中や術後の出血もそれを集め洗浄、ろ過する事で一定時間内なら再度自分の体に戻す事ができます。これを術中・術後自己血回収輸血といいます。当院では人工膝関節置換術後の自己血回収輸血を行っていますが、さらに出血量が多ければやむを得ず、同種血による輸血を行います。

さらに最近問題になっている合併症として、術後に下肢の静脈血管内に血のかたまり(血栓)ができて深部静脈血栓症といった状態が起こることがあります。大きな血栓ができ、それが血液中に流れ出し肺の血管につまると、エコノミークラス症候群と同様の症状を起こすことがまれにあります。予防には早く動くことが最も重要で、当院では積極的に早期リハビリに取り組んでいます。また、術中から下肢に自動的に空気圧でのマッサージ的効果により、血栓形成を予防する効果が期待できるフットポンプのような機械も装着したり、手術後から血栓防止のための治療薬を投与したりして、少しでも患者さまの血栓症のリスクを軽減することに努めています。

手術翌日からリハビリテーションが始まります。理学療法士による訓練と膝を屈伸させる器械によって徐々に可動域を拡げると同時に筋力も鍛えていきます。移動については翌日より車椅子を許可します。術後3日目より痛みに応じて立位から歩行の訓練も始まります。順調にいけば術後約1ヶ月で日常生活に戻ります(退院)。




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