■サイトナビゲーション


診療科・各部署のご紹介

診療部|外科:医療記事

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP)について

外科 谷川 航平


外科領域で最も頻度の高い疾患の一つに鼠径(そけい)ヘルニアがあります。
鼠径ヘルニアとは、一般的に“脱腸”と言われている病気です。年を重ねたり、腹圧のかかる運動を繰り返したりすることにより、お腹の壁にできた隙間から小腸、大腸などの内臓が飛び出してきます。症状としては、立ち上がったり、お腹に力を入れたりしたときに鼠径部(足の付け根付近)が膨らみ、時として痛みを伴うこともあり、便秘などの症状が出る場合もあります。

基本的には仰向けに寝転んだり、手で押さえることで、膨らみはなくなります。それでも戻らない場合は嵌頓(かんとん)状態と呼ばれ、出てきている腸が締め付けられている状態で、そのままにしておくと腸が壊死してしまい、最悪の場合は腸が破れて腹膜炎に至り、命の危機になることもあります。そうならないように、お腹の中に戻るうちに戻しておいて、出てこないように蓋をしておきましょうというのが、鼠径ヘルニアの手術です。

鼠径ヘルニアの手術には大きく分けて2種類あります。腹腔鏡を用いた方法と、用いない方法(従来の方法)です。数年前までは日本で行われる鼠径ヘルニアの手術のほとんどは、腹腔鏡を用いず、お腹の外側から手術を行い、鼠径部の膨らんでくるところを5cm程度切って、腸が飛び出してくる出口を見つけてきて、メッシュと呼ばれる補強具を縫い付けて、蓋をするという方法でした。
しかし、最近は腹腔鏡を用いて、お腹の内側から手術を行い、腸が飛び出す入口側を補強する方法に徐々に入れ替わってきています。現在では鼠径ヘルニアの手術において、腹腔鏡手術が占める割合は4分の1程度まで増えてきており、当院でも適応のある方には腹腔鏡手術を施行しております。

腹腔鏡手術が増えてきたのには理由があります。従来の方法と比較した場合、多くの方にとって長所が多く、短所が少ないからです。

<腹腔鏡手術の長所>
@入院期間が短い
当院では2泊3日を基本としており、ほとんどの方が手術翌日に退院されます。

A傷が小さい
傷は腹腔鏡を入れるための小さい傷が3か所(最小でそれぞれ1.2cm、0.5cm、0.3cmで可能)だけです。従来の方法では傷は1つですが5cm程度ですので、腹腔鏡手術の場合は3か所すべて足しても半分以下です。

B術後の疼痛が軽度
傷が小さいので、手術の後の痛みも比較的軽度であることが多いです。

C術後の制限がない
従来の方法では退院後2週間程度の運動制限などがありましたが、腹腔鏡手術の場合は、退院後より運動制限は全くありません。これは、腸が飛び出す隙間の出口側にメッシュ(人工補強材)を当てる従来の方法では、お腹に力が入るとメッシュが外れる方向に力がかかりますが、腹腔鏡手術の場合は、腸が飛び出す隙間の入口側に当てて補強するので、お腹に力がかかっても特に影響はないからです。

D大きいメッシュで補強することができる
従来法の2倍程度の大きさのメッシュで補強することができ、カバーできる範囲が広くなるので、再発率の低下につながります。

以上のように腹腔鏡手術の長所はたくさんあります。短所は全身麻酔が必要となることが挙げられます。全身麻酔に伴う危険性が高い方の場合、例えば心臓や肺の機能が悪い方や、喘息の方の場合は、脊椎麻酔でできる従来の方法が望ましいでしょう。
また、過去に下腹部の手術をされたことのある方も、癒着※の影響で腹腔鏡手術が適応とならない可能性がありますので、一度ご相談ください。
※癒着(ゆちゃく):治癒する過程において、本来離れているべき組織同士がくっついてしまうこと

腹腔鏡手術を特におすすめしたいのは、心肺機能が問題なく下腹部の手術歴がない方で、早期の仕事復帰を希望される方や、重い物を持つことが多かったり腹圧のかかる運動を今後もする機会が多い方です。

当院では従来法と腹腔鏡手術のどちらにも対応できますので、鼠径ヘルニアでお悩みの方は、
是非一度ご相談ください。


■科内リンク


■サイトコンテンツメニュー


■バナーエリア

臨床研修医募集
後期研修医募集
明石医療センター高機能フロア
附属看護専門学校


■当サイトのご利用にあたって


■コピーライト